酒の友

パスティス


 2001年は、日本人外野手初の大リーガーの話題で持ち切り、特にイチローの活躍は連日ニュースで紹介されて、野球嫌いの私もスポーツニュースが気になって気になって。
 そのイチローの背番号といえば言わずと知れた「51」、その「51」がラベルにでかでかと書かれたリキュールがあります。仲間うちでは別名イチローと呼ばれているそのリキュールの名はパスティス51。
 パスティスといえば、その昔フランスで有名だったアブサントというリキュールがあった。ただ原料に違法な薬草が使われていたために製造中止になっちゃった、といういわくつきの、今となっては伝説のリキュール。そのアブサントを合法的に復活させようと、各メーカーから発売されたのがパスティスなのだ。
 私が初めてパスティス51に出会ったのはとあるバーでのこと、仕事が終わって同僚と飲んでいると、そのバーのマスターが「珍しいのが手に入ったから飲んでみないか?」といっておごってもらったのがパスティス51だった。
 しかし、パスティス51はとにかく臭い! その時一緒に飲んでた仲間達は、皆臭くて飲めない、と言ったぐらい。で、私だけ味見させていただくことになったんだけど、香りが臭いなら、味も独特でかなり強烈。でもこれが癖になって。
 ただその店でも中々仕入れてくれないのが玉にキズ、マスターは好きなんだけど、チーフが絶対に嫌がるんだ。なぜかって、だってパスティス51を注いだグラスって洗っても中々匂いが取れないんだ。
 でも最近、リカーノって名前のパスティスを置いてくれたけど、全然違う! 絶対イチローの方が旨いぞ!