創作詩


 「もう二度と戻ってくるな」
 そう言われて門を出た
 高く長く続く塀が遠くまで続く道
 車が一台停まっている
 傍らには父と母が待っていた
 八年前と同じ寒い冬の朝だった
 八年見ぬ間に父と母は
 ひと廻りも、ふた廻りも
 小さくなってしまったようだ
 私は何も言わず車の後部座席に座る
 車は真直ぐ私の産まれ育った家へと向かう
 八年前のあの場所へ
 私自身の罪と向き合う為に
 その為にはどれだけの勇気が必要か
 今の私にはまだわからない

    May 23, 2005