ジンにタンカレー (Tanqueray)という超有名なブランドがあります。私は邪道といわれようと、ドライマティーニには決まってタンカレーを使います。
ある日、美少女と二人で行きつけの近所のバーへと足を運ぶと、その店のごついマスターが一言、良い酒が入ったよサービスで飲んでみろ。
冷凍庫から取り出されたボトルは、タンカレー独特の美しいグリーン、しかしスタイルはあのずんぐりの消火栓型ではなく、スリムな8角柱、中央にはお馴染みの赤い封鑞を模したエムブレムに、"No.TEN"の文字がくっきりと……。とにかく美しいの一言!
何でもタンカレー蒸溜所で最も古い、第10番蒸溜機で作られた厳選された一本らしく、少量しか生産されていないとの事。特別な一本なのだ!
ギンギンに冷えた"No.TEN"を小さなグラス二つに注ぐ。トロっトロの無色の液体が注がれるのももどかしく、手元に寄せそっと香りを嗅ぐ。
タンカレーといえば、それだけで“あの”香りを思い浮かべる方も多いでしょうが、比べ物にならなかった。まるでジバンシーかどっかの高級フレグランス。あの香りだけでも嗅ぐ価値アリ!
二人ともすっかり虜になり、今私の手元にはそのときの空瓶が……。時々香りを楽しんでます。手に入れたいけど、普通のタンカレーの3倍の値は……。
マティーニにはとても使えません、というかロックにするのも勿体なくて。
ジン好き、特にタンカレー派はぜひ一度。
-July 2002-