希 Keyboard 夜話

最終夜「キーボードへのこだわり」

希の使用キーボードは PFU の 「Happy Hacking Keyboard Lite2 for Mac(以下 HHKB Mac)」である、Lite2 であるのがちょっと寂しい……。お値段 5,800円と、とてもお安いキーボードとは言えないが、これでも廉価版、希のおさいふが許す限界だった(汗)

最近 PFU は(Lite ではない Proシリーズの) Bluetooth版を発売、ここのところあちらこちらで、この「Happy Hacking Keyboard Professional BT(以下 HHKB BT)」のレビューやら購入記事のブログが目に付いて、というか気になって読みに行っている。しかしというか、やはりレビューを読めば読むほど無性に欲しくなる(笑)、しかし! お値段 27,500円!! そう HHKB Pro シリーズは生涯の相棒にさえなり得る、超高級キーボードなのだ。

もちろん「HHKB Mac」も良いキーボードである、多分 Pro シリーズとは違うのだろうが、文字を入力する楽しさを味合わせてくれる。しかし入力時のキー音が少々大きかったのと、押込時の抵抗が若干重かったため、キーボードを一旦バラし、メンブレンと呼ばれるキーひとつひとつのスプリングの役割をしている、一枚物のシリコンシートにボッコボコに穴を開け、本体とキーが触れる部分にゴムシートを貼り衝撃を和らげたり、と相棒を散々な目に遭わせてしまったが、タッチも音も柔らかくなりイイ感じである。夜中も気にせず打てるようになったのは大きい。DynaBook のキータッチを思い出してしまう。

Lite2 はキーと基盤が接触する機械的スイッチである、かたや Pro シリーズは、静電容量無接点方式という物理接触が少なく、耐久性が高く長持ち、そしてキータッチは何といっても Lite2 とは別物という。

しばらく本気で「HHKB BT」を買おうかと思ったものだが、Bluetooth の利点といえばケーブルレス、それと iOS 端末(iPhone, iPad)でも使えるということ!

しかしよく考えると iOS では問題がある、キーカスタマイズと親指シフトである。このコンビネーションがないと気持ちよく打てない……、親指シフトは何とかなる(エディタとしてはかなり妥協する)アプリがあり、「HHKB BT」と連携できるが、いかんせんキーボードショートカットである、ほぼ手癖で反射的に出る動作なので、これが引っかかるとかなりのストレスである、これは私が「M$ Office」を使えない理由でもある。

さらに、「HHKB BT」使用者の多くの方がおっしゃる、『Type-S の Bluetooth版を出してくれ〜』との魂の叫び(笑)がある。

「HHKB BT」のベースとなった Professional と、「Happy Hacking Keyboard Professional Type-S(以下 Type-S)」 でもさらにキータッチが違うという。「Type-S」はズバリ PFU のキーボードのフラッグシップである、30%もの静穏化に成功し、各キーの”あそび”を減らした究極のタッチ感との噂、iOS や外出先での使用に魅力を感じないなら、USB 接続であっても「Type-S」もイイかも……(‘ x ‘ ) お値段はやはり 27,500円だけど……(><;)

嗚呼……おさいふの神よ、お許しください、誘惑に負けてしまいそうです(希)

希 Keyboard 夜話

第七夜「MAC の入力環境設定」

 「MAC」の OSX で最初に行う設定は、個人用のキーカスタマイズの設定。ホーム(ディレクトリ)内のライブラリ(ディレクトリ)を表示し、その中の KeyBindings(ディレクトリ)下の DefaultKeyBinding.dict(ファイル)を編集する。これはただの xml の書式で書かれたテキストファイルであるため、テキストエディタ等で直接閲覧・編集できる。KeyBindings(ディレクトリ)がない場合は自分で作る(笑)、もちろんファイルも。以下に希用の設定ファイルを貼っておきます。

~/Library/KeyBindings/DefaultKeyBinding.dict 内容

(※一部文字抜けの為、テキスト入力で変更 ”Left” “Right” “Page Up” “Page Down” の 4キー)


<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<!DOCTYPE plist PUBLIC "-//Apple//DTD PLIST 1.0//EN" "http://www.apple.com/DTDs/PropertyList-1.0.dtd">
<plist version="1.0">
<dict>
	<key>$"Left"</key>
	<string>moveWordBackward:</string>
	<key>$"Right"</key>
	<string>moveWordForward:</string>
	<key>^,</key>
	<string>noop:</string>
	<key>^.</key>
	<string>noop:</string>
	<key>^/</key>
	<string>noop:</string>
	<key>^:</key>
	<string>noop:</string>
	<key>^;</key>
	<string>noop:</string>
	<key>^@</key>
	<string>noop:</string>
	<key>^A</key>
	<string>moveWordBackwardAndModifySelection:</string>
	<key>^D</key>
	<string>moveRightAndModifySelection:</string>
	<key>^E</key>
	<string>moveUpAndModifySelection:</string>
	<key>^F</key>
	<string>moveWordForwardAndModifySelection:</string>
	<key>^S</key>
	<string>moveLeftAndModifySelection:</string>
	<key>^U</key>
	<string>redo:</string>
	<key>^X</key>
	<string>moveDownAndModifySelection:</string>
	<key>^[</key>
	<string>noop:</string>
	<key>^]</key>
	<string>noop:</string>
	<key>^_</key>
	<string>noop:</string>
	<key>^a</key>
	<string>moveWordBackward:</string>
	<key>^b</key>
	<string>setMark:</string>
	<key>^c</key>
	<string>pageDown:</string>
	<key>^d</key>
	<string>moveRight:</string>
	<key>^e</key>
	<string>moveUp:</string>
	<key>^f</key>
	<string>moveWordForward:</string>
	<key>^g</key>
	<string>deleteForward:</string>
	<key>^h</key>
	<string>deleteBackward:</string>
	<key>^i</key>
	<string>insertTab:</string>
	<key>^j</key>
	<string>noop:</string>
	<key>^k</key>
	<string>noop:</string>
	<key>^l</key>
	<string>noop:</string>
	<key>^m</key>
	<string>insertNewline:</string>
	<key>^n</key>
	<string>selectToMark:</string>
	<key>^o</key>
	<string>noop:</string>
	<key>^p</key>
	<string>noop:</string>
	<key>^q</key>
	<string>noop:</string>
	<key>^r</key>
	<string>pageUp:</string>
	<key>^s</key>
	<string>moveLeft:</string>
	<key>^t</key>
	<string>deleteWordForward:</string>
	<key>^u</key>
	<string>undo:</string>
	<key>^v</key>
	<string>centerSelectionInVisibleArea:</string>
	<key>^w</key>
	<string>scrollLineUp:</string>
	<key>^x</key>
	<string>moveDown:</string>
	<key>^y</key>
	<array>
		<string>deleteToBeginningOfLine:</string>
		<string>deleteToEndOfLine:</string>
	</array>
	<key>^z</key>
	<string>scrollLineDown:</string>
	<key>~"Left"</key>
	<string>moveLeftAndModifySelection:</string>
	<key>~"Right"</key>
	<string>moveRightAndModifySelection:</string>
	<key>~"Page Up"</key>
	<string>scrollPageUp:</string>
	<key>~"Page Down"</key>
	<string>scrollPageDown:</string>
</dict>
</plist>

 編集にはその名もズバリ、「KeyBindingsEditor」 を使うと良い。

keybindingseditor

 Open から User Key Bindings を選ぶと、個人用の設定ファイルを開いてくれる。System 用ファイルは、デフォルトでは書き込み禁止だし、もし設定に失敗したとしても、上記の dict ファイルを削除してログアウトすれば、初期状態に戻るため安心して使用できる(とはいえ設定ファイル書換えは自己責任の世界です)。

希 Keyboard 夜話

第六夜「その後の日本語入力環境」

 新しいコンピュータの購入後、もしくは以前の趣味(笑)である OS のクリーンインストール後には、まず何はなくともキーボード周りの環境を設定することが慣例となった。

 テキストエディタや日本入力 IME は、極力カスタマイズ可能なものを選び、もしカスタマイズが無理でも、前章でのショートカットキーに準拠するものを選定する。「親指シフト」に関しては、現在までに以下のようなエミュレータを使用してきた。尚、現在では配布、開発が停止した物もある。

  • 親指ぴゅん (MS-DOS)
  • Oyayubi.init (Mac OS)
  • Nickey (Mac OS)
  • 親指ひゅんQ (Win)
  • Q's Nicolatter (Win)
  • TESLA (OSX)
  • TESLA 野良ビルド (OSX)
  • Anthy [IME] (Unix [Debian])
  • KeyRemap4MacBook (OSX)
  • Karabiner (OSX)
  • Lacaille (OSX) ※追記 Oct/13/’18

 現在は「Karabiner」を使用、「親指シフト」の設定以外は使っていないが(汗)かなりの多機能アプリ、システムのキーアサインを変更するため、ネットと首っ引きで設定ファイルも作ってみたが結局は使わず、親指シフトのみの使用である。

 現在は Lacaille を使用している。

 テキストエディタは MAC 用の「Jedit」の使用が多かったが、現在では、「MAC」のシステム定義(初期状態でのショートカットキー)の個人設定ファイル自体を書き換えることで、かなり満足のゆく環境を構築することができ、アプリに依存せずに入力環境を構築できるようになった。ただ最近 IME をキーカスタマイズのやりやすい「かわせみ2」に変更したため、まだ辞書が自分用に最適化されておらず、変換候補に若干違和感がある。

 IME を「かわせみ2」に変更したのは、以前から気になっていたのもあるが、それまで使っていた OSX 標準の「ことえり」等が、キーカスタマイズができなかったことが大きい。キーカスタマイズができる「Google 日本語入力」も試したがとにかく設定画面が判りづらい、自分の言葉で文章を紡ぐ、という感覚にもなれない。「ATOK」はハナから論外で、やはりお仕着せの正しい日本語(確かに正確だろう)が、文章から”条希”臭を消してゆく。

 教師や医師などには「ATOK」、ネットニュースやブログを書く人には「Google 日本語入力」、システム標準の安心感「ことえり」「ライブ変換」、カスタマイズ優先の「かわせみ2」といったところでしょうか? (Unix 系の IME もありますが)

 これから「かわせみ2」の変換精度が、どれほど”条希”色に染まってゆくのか楽しみです。

希 Keyboard 夜話

第五夜「文章を編む快感」

 そして愛用の無料日本語FEP、「WXP」が満を持して製品版として登場した! その名も「WX II+」! (無印の「WX II」は J-3100 に対応していなかった)

 日本語入力の全ての機能、操作にキーボードショートカットが自由に定義でき、辞書も空辞書を作り一から手作りで育てていくことのできる、まさにフルカスタマイズ可能な、当時としては斬新な FEP だった。

 フルカスタマイズ可能な両ソフト、テキストエディタ「VZ editor」、日本語入力FEP「WX II+」。この二つを使用する頻度の低い機能を排除する形でカスタム、徹底的に両ソフトの操作感、ショートカットキーを対応させた。

——————————
Control + m = [Enter]
Control + h = [BackSpace]
Control + g = [Delete]
Control + i = [TAB]
Control + u = [Undo]
Control + e = [↑](変換候補移動)
Control + x = [↓](変換候補移動)
Control + s = [←](文節、キャレット移動)
Control + d = [→] (文節、キャレット移動)
Control + a = [Shift] + [←](文節長 -1)
  <編集時>[1Word Left]
Control + f = [Shift] + [→](文節長 +1)
  <編集時>[1Word Right]
Control + r = [PageUp](変換候補頁移動)
Control + c = [PageDown] (変換候補頁移動)
Control + j = (ひらがなへ変換)
Control + k =(カタカナへ変換)
Control + l =(半角英数へ変換)
——————————

 基本形はこの様な形で仕上げた、このキーレイアウトは現在でもそのまま使用している。

 ここに「親指シフト」が加わり、日本語入力に関するストレスは、ほぼなくなる。

 そんなある夜、寝つけずにいた希はおもむろに起き上がり、「DynaBook」を寝床の上に置き、ドカッとあぐらをかきポチポチとキーボードを押し始めた。そのまま 2時間集中し一気に文章を書き(打ち)続け、気がついた時には短編小説が一作でき上がっていた、その 2時間の間は、自分の頭に浮かんだ文章が、ダイレクトにディスプレイに表示されていた、世界には文章を考える脳と、文章が表示されるディスプレイと、その文字を追う二つの眼だけが存在していた、はっきりとそう感じた。このとき文章を打つ指先と、それをコンピュータに伝え続けるキーボードは、存在していなかった。あの感覚、快感は OS が GUI になり、ハードディスクが主流になり、FEP が IME になり辞書は肥大化し、「VZ editor」も WX シリーズも消え、もう味わえなくなってしまった。

 ただ「親指シフト」だけはいつも私の指先に……。

希 Keyboard 夜話

第四夜「ローマ字入力からの卒業」

 ここまでくると、コンピュータ雑誌などのキーボードや日本語入力に関する記事には敏感になる。「WXP」以外の日本語入力 FEP の特徴や機能、かな入力とローマ字入力メリット、デメリット。「DynaBook」のキータッチが良いというのも、この頃知った。

 そしてついに知ってしまうのである、「親指シフト」の存在を……。

 「親指シフト」それは富士通が自社のワープロ専用機に搭載していた、人間工学や独自の日本語解析に基づき開発された日本語入力方式(及びキーボード本体)である。日本語を話すように、リズミカルに入力でき、ストレスフリーな環境を実現。

 これがとにかく入力が速いというのだ。その頃よく行われていた(らしい)、キーボードによる日本語入力スピードを競うワープロコンテスト、そのどの大会でも「親指シフト」遣い(親指シフター)が上位を独占していたという。

 そこまで言われたら、使ってみるしかない!

 本来専用キーボードの使用を前提としたものだっが、これをソフトウェア的に実現しようと、当時 MS-DOS 用に「親指ぴゅん」という無料のソフトが作られた。この「親指シフト」ソフトウェア・エミュレーションの流れは現在まで続いており、様々なソフトウェア/アプリが有志の方々によって開発されている。開発が終了されたプロジェクトもあるが、その度に新たなプロジェクトが立ち上げられ、今でもあらゆる環境で「親指シフト」が利用できる。

 この「親指シフト」、試してみて最初につまずくのは、キーボード表示である。当たり前の話だが、専用キーボードでもない限り、普通日本語用キーボードのキーには、アルファベットとかな入力用の日本語しかプリントされていない。「親指シフト」は独自配列のため、どのキーを押せば、何の文字が入力されるかが判らない。つまりキー配列を丸暗記する(もしくは身体にたたき込む)しかない。強制的なブラインドタッチ習得である(笑)

 まあ1週間ほどで打てるようになり、1ヶ月もすれば「親指シフト」以前のスピードくらいには追いつける。

希 Keyboard 夜話

第三夜「初めての Editor」

 ここまでは良いのだが、文書の作成は日本語入力だけでは済まない、文章の編集を行う必要がある。ということは編集しながら、文章の訂正に適宜日本語入力が必要、編集・入力の同時進行ということで、編集中もキーボードのホームポジションから指を離したくない。しかし使用していたワープロソフト(M$の統合ソフト)には気の利いたショートカットもなく、カーソルキー“かちゃかちゃ”である。マウスが使えるのが唯一の取り柄のようなソフトだったのだが、希の指は文書の作成中において、常にホームポジションに居座りたがっていたのだ。

 日本語入力の次は、編集作業のショートカットキーだ!

 ということで WXP との同時使用で、操作に違和感のないソフト……。選んだのは「VZ editor」だ!

vzeditor
※まさか残っているとは……

 この「VZ editor」は本来プログラムを書く為のソフトだが、日本語入力 FEP と組み合わせれば、日本語文書も作成できる。

 「VZ editor」の特徴としては、当時数万円はしていたテキストエディタが 9,800円で手に入るという手軽さ、海外のワープロソフト WordStar(現在も古い PC を使い、このソフトで執筆を続けている海外作家がいるそうである)のショートカットを模した配列、ゲームが作れるほどの複雑なマクロが組める、とにかくプログラムが軽い軽い、システムに常駐し Esc キー一発で瞬間起動したり、膨大なバッファによる無限アンドゥ、ファイルの操作が自由自在なファイラー機能、しかもマクロで機能を改変・追加(というか「VZ editor」はほとんどの機能をマクロで実装していた!)、キーボードショートカットの定義も全変更化と、とにかくフリーダムなソフト。

 「WXP」と「VZ editor」の組み合わせ。これでファイル操作も含めて、「DynaBook」のほぼ全ての操作を、両手をホームポジションに置いたままコントロールできるようになった。

希 Keyboard 夜話

第二夜「初めての日本語入力 Front-End Processor」

 気持ちの良い日本語入力環境を求めて購入した、この「DynaBook GS001」キビキビ動くぞ! 全てがメモリ上で動くため、今でいう SSD 並の快適さ。キーボードのタッチ(押した感触)も当時絶賛されていた。さらに日本語入力 FEP(現在の IM or IME )として「ATOK」が ROM で搭載され、それまで電源を切れば消えていたメモリの中身も、バッテリーで保護されるレジューム(現在のスリープ)機能(ワープロ専用機では当たり前だがパソコンにはなかった)も搭載し、快適そのもの。

 これでホームポジションから離れずに、快適日本語入力ライフが送れると思ったのも束の間、当時の「ATOK」での日本語入力操作もまたカーソルキーに依存していた……。

 そこで希はパソコン通信(インターネット以前の電話回線通信)で「WXP」という無料の日本語入力 FEP(当時としてはありえない!)の J-3100 版を GET!

 このソフト(当時はアプリとは言わなかった)、コントロールキーと文字キーの組み合わせで、カーソル操作やエンター、del に BS などの操作ができる仕様。ホームポジションから手を離さずに、日本語入力に必要なすべての操作ができた。

 Control キーの位置は、キーボードのメーカーや機種によってまちまちだが、希的にはアルファベットの A キーの左側が好み。これは(たしか)「DynaBook」から引きずっている、「MAC」も JIS 配列はこの位置、現在のメインキーボードの「HHKB (Lite2)」もそうだ。Windows では(JIS 配列でも) Caps Lock が割り当ててあることが多い。

 さらに希はシリコン製のキーボード保護カバー(今ではそんな物ありませんかね?)をかぶせ、ホコリをシャットアウト。その副産物として“ぽこぽこ”という柔らかい感触のキータッチを得、文字入力がさらに気持ち良い物になっていた。

希 Keyboard 夜話

第一夜「初めてのパソコン選び」

 初めてキーボード(楽器じゃないよ)に触れたのは、借りてきた「MSX2+」( TV に繋いで使用するホビー用のキーボード一体型のパソコン)だったと思う。特にまだキーボードへの思い入れはない。

 次にワープロ専用機を手に入れ、この時初めて「ローマ字入力」「かな漢字変換」を使用し、何か違和感を覚える。

 日本語入力は最初からブラインドタッチ(手元を見ずに入力)で覚えた。両手の位置はホームポジション固定、視線は画面に向けるだけで、視点の移動は最小限。

 しかし文字訂正・文節長変更のために、変換の度に右手がカーソルキーへ……、さらに確定キー(エンター)や削除キー(BS)が遠い、これが納得いかなかった。

 せっかくホームポジションに固定している指を、なぜ変換の度に崩さなくてはいけないのか! カーソルに行ったりホームに戻ったりと、あまりに無駄な動作と感じた。

 そしてパソコンには、ショートカットキーなるものが存在すると知る。

 ホームポジションから手を離さずに、長文の日本語入力ができるというのだ。たったそれだけの理由でせっせとバイトをしてパソコンを購入。この頃から既に日本語入力に対するこだわりが見え始めている。

 候補に上がったのは当時の最も安いパソコン、19万8千円のモデル 2機種。

  • TOSHIBA DynaBook J-3100 GS001
  • Apple Macintosh Classic

 DynaBook はノートパソコンのはしりであり、J-3100 GS001 は二代目 DynaBook 。 Macintosh Classic は 9インチ画面の一体型超コンパクト・デスクトップ、初の廉価版 Mac。どちらもモノクロ 2値画面、本当に白か黒だけ(DynaBook の液晶は青かったが)の表示で、中間色などは存在しない。

 当時はまだハードディスクは、高価で高嶺の花の贅沢品。DynaBook はハードディスクの代わりに、増設したメモリーを仮想のディスクとして利用する。Macintosh は当時一般的だった、フロッピーディスクのみでの運用である。

 その頃はこの2機種がどう違うのかよく解らずに、単に DaynaBook はキーボード操作で CUI(文字のみのコンピュータ)、Macintosh はマウスをメインに使用した GUI(アイコンを操作する)というくらいしか解らなかったのだが、Macintosh はまだ日本語に弱いなどの雑誌記事を読み「DaynaBook」を購入した。