ただ軟らかく柔らかく
逆らうことなく
足掻(あが)くことなく
穏やかな
また嫋(たお)やかな
時間(とき)の水精(ニンフ)の
誘(いざな)うまゝに
心ひとひら
波の上
たゆたう流れに
押されながらも
全てを任せ
つーっと滑って
行くのもいい
水鏡はゆらぎ
決して同じ景色を写さない
息をひそめて見上げる空は
麗(うらら)かなる陽光
白と黒の激しい光
時には曇に覆われり
雨の雫も滴(したた)らす
紅葉(もみじ)、銀杏(いちょう)を降り散らし
粉雪、綿雪、牡丹雪
水面氷らす凍てつく日々も
また流れ去り
何れ帰り来たるだろう