希 Keyboard 夜話

第一夜「初めてのパソコン選び」

 初めてキーボード(楽器じゃないよ)に触れたのは、借りてきた「MSX2+」( TV に繋いで使用するホビー用のキーボード一体型のパソコン)だったと思う。特にまだキーボードへの思い入れはない。

 次にワープロ専用機を手に入れ、この時初めて「ローマ字入力」「かな漢字変換」を使用し、何か違和感を覚える。

 日本語入力は最初からブラインドタッチ(手元を見ずに入力)で覚えた。両手の位置はホームポジション固定、視線は画面に向けるだけで、視点の移動は最小限。

 しかし文字訂正・文節長変更のために、変換の度に右手がカーソルキーへ……、さらに確定キー(エンター)や削除キー(BS)が遠い、これが納得いかなかった。

 せっかくホームポジションに固定している指を、なぜ変換の度に崩さなくてはいけないのか! カーソルに行ったりホームに戻ったりと、あまりに無駄な動作と感じた。

 そしてパソコンには、ショートカットキーなるものが存在すると知る。

 ホームポジションから手を離さずに、長文の日本語入力ができるというのだ。たったそれだけの理由でせっせとバイトをしてパソコンを購入。この頃から既に日本語入力に対するこだわりが見え始めている。

 候補に上がったのは当時の最も安いパソコン、19万8千円のモデル 2機種。

  • TOSHIBA DynaBook J-3100 GS001
  • Apple Macintosh Classic

 DynaBook はノートパソコンのはしりであり、J-3100 GS001 は二代目 DynaBook 。 Macintosh Classic は 9インチ画面の一体型超コンパクト・デスクトップ、初の廉価版 Mac。どちらもモノクロ 2値画面、本当に白か黒だけ(DynaBook の液晶は青かったが)の表示で、中間色などは存在しない。

 当時はまだハードディスクは、高価で高嶺の花の贅沢品。DynaBook はハードディスクの代わりに、増設したメモリーを仮想のディスクとして利用する。Macintosh は当時一般的だった、フロッピーディスクのみでの運用である。

 その頃はこの2機種がどう違うのかよく解らずに、単に DaynaBook はキーボード操作で CUI(文字のみのコンピュータ)、Macintosh はマウスをメインに使用した GUI(アイコンを操作する)というくらいしか解らなかったのだが、Macintosh はまだ日本語に弱いなどの雑誌記事を読み「DaynaBook」を購入した。