創作詩

なぜか今夜は


 何故か不思議と胸が痛む夜


 時の流れに埋もれそうで

 自分を見失いそうな哀しみ


 足元を照らすものはなく

 踏みしだく草の香と感触


 頭上に瞬く小さな灯り

 ひとつ

 ふたつ…


 誰かの名を囁こうとしても

 きみ?

 あなた?…


 胸の中でぐるぐると渦を巻く感情

 心を見つめ続けて目が舞う


 焦点を結ばない気持ちの澱(おり)が

 ひとつぶ

 ふたつぶ…


 ずっとずっと過去から降り積っている


 こんな広い世界にひとりだけ?


 もう踏みしめる大地も無くなった


 夜空の中空(なか)に宿る星

 ひとつ

 ふたつ…


 灯りを数え

 ただただ彷徨う

 流されてゆく


 何故か今夜は胸が痛むんだ


        2010/07/05